この記事でわかること
  • 主要取引先である量販店との取引停止・縮小リスク、成長領域のB2B事業の停滞、燕三条地域のサプライチェーン毀損などを理由に挙げた。
  • ジャパネットは反対決議の直前に「価格を大幅に引き上げることを検討している」と書面で伝えていたが、ツインバードはそれでも反対を選んだ。
  • ツインバードは同日、TOBを受け入れるより企業価値向上につながるとして新中期経営計画を発表。ジャパネットは「対応・見解は精査のうえ改めて発表する」とコメントした。
ジャパネットツインバードTOB買収反対表明燕三条家電M&A新潟

新潟県燕市の家電メーカー・ツインバードが8月31日、ジャパネットHDによるTOBに反対を表明。量販店との取引リスクやシナジー不足を理由に取締役会全員一致で拒否した。ジャパネットは価格引き上げも検討していたが受け入れられなかった。

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これまでの経緯

時期 内容
2026年2月 ジャパネットがツインバードに子会社化の可能性を打診
2026年3月 ツインバードが「資本構成の変更を前提とする提案には応じられない」と回答
2026年6月19日 ジャパネットが完全子会社化方針に回帰。1株800円・10月下旬開始予定のTOB方針を発表
2026年8月31日 ツインバード取締役会が全員一致でTOBに反対を表明

反対の主な理由

リスク項目 懸念内容
量販店との取引 競合関係にあるジャパネット傘下になれば、主要な量販店との取引が停止・縮小する可能性。実際に複数の量販店から懸念の声が寄せられた
B2B事業 成長領域として力を入れているB2B事業(業務用製品)の停滞リスク
サプライチェーン 燕三条地域の職人ネットワーク・取引先との関係毀損リスク
役職員 資本構成変更に伴う役職員の離反リスク
シナジー効果 ジャパネットが示す販売拡大・共同商品開発の効果について、実現可能性や具体的根拠が不十分と判断

価格引き上げの提案があっても反対した理由

注目すべきは、ジャパネットが反対表明の直前に「TOB価格を大幅に引き上げることを検討している」と書面でツインバード側に伝えていた点だ。価格交渉の余地があったにもかかわらず、ツインバードは「価格の問題ではない」として反対の姿勢を崩さなかった。これは「800円では安いから反対」という単純な構図ではなく、ジャパネット傘下入りそのものに伴う事業リスクを重視した判断であることを示している。

ツインバードが示した独自の成長戦略

ツインバードは反対表明と同時に、新たな中期経営計画を発表した。最終年度となる2032年2月期(31.2期)に売上高117億円・営業利益14億円・営業利益率12%・ROE13%以上を目指す内容で、PBR1倍以上、計画期間全体の総還元性向75〜100%を目標に掲げる。「売上偏重でなく高収益事業への転換による利益の最大化」を基本方針とし、TOBを受け入れるより自律的な成長を選ぶ姿勢を明確にした。

今後の見通し

ジャパネットは同日、「対応および見解については、精査・整理のうえ改めて発表する」とコメントするにとどめている。ジャパネットは当初、ツインバード側から10月30日までに賛否の表明がない場合はTOBを実施しない方針を示していたが、今回明確な反対表明を受けたことで、当初計画通りTOBを断念するか、価格引き上げなど条件を変えて再提案するかが焦点となる。

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Q&A

なぜツインバードはTOBに反対したのですか?
主要取引先である量販店との取引停止・縮小リスク、成長中のB2B事業の停滞、燕三条地域のサプライチェーン毀損などを理由に挙げています。ジャパネットが示すシナジー効果についても、実現可能性の根拠が不十分と判断しました。
ジャパネットは価格を上げても断られたのですか?
はい。ジャパネットは反対表明の直前に「TOB価格を大幅に引き上げることを検討している」と書面で伝えていましたが、ツインバードは価格の問題ではなく事業リスクを理由に反対を選びました。
今後このTOBはどうなりますか?
ジャパネットは「対応・見解は精査のうえ改めて発表する」とコメントしており、現時点で完全に破談したとは言い切れません。当初はツインバードから10月30日までに賛否表明がなければTOBを実施しない方針でしたが、今回の反対表明を受けて今後の対応が注目されます。
この記事のまとめ
  1. ツインバードが8月31日、ジャパネットのTOBに取締役会全員一致で反対を表明した。
  2. 量販店との取引リスク・B2B事業の停滞・サプライチェーン毀損などを理由に挙げ、ジャパネットの価格引き上げ提案も受け入れなかった。
  3. ツインバードは新中期経営計画で自律的な成長を掲げた。ジャパネットは今後の対応を「精査のうえ改めて発表する」としている。
なうらぼ編集部より

「価格を上げると言われても断る」という判断は、M&Aの世界では珍しいパターンです。

通常、買収提案への反対は「価格が安すぎる」という理由が大半を占めます。しかし今回ツインバードは、ジャパネットが価格の大幅引き上げを検討していると伝えたにもかかわらず反対を選びました。これは金額の問題ではなく、「ジャパネット傘下に入ること自体」がもたらす事業上のリスクを重く見た判断だということです。

特に「量販店との取引が実際に停止・縮小するという声が複数寄せられた」という記述は、TOB発表後にすでに現実的な影響が出ていたことを示しています。燕三条という職人文化の土地で、B2B事業への転換を進めていた矢先だったツインバードにとって、これらのリスクは看過できないものだったのでしょう。

ジャパネットが今後どう対応するかは未定ですが、「友好的TOBを前提とする」としていた以上、ツインバードの明確な反対を押し切って強行することは考えにくい状況です。

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