この記事でわかること
  • 麹がNYの一流シェフに採用
  • 全国25蔵の連携で輸出額5年3倍
  • 青森・秋田・沖縄など各地の伝統食が消滅危機
発酵食品腸活和食文化食の危機

NHKクローズアップ現代(2025年10月29日放送)が、世界でブームの日本の発酵食品と、国内で進む消滅危機の実態を特集。物価高・原料不足・担い手不足が重なる中、小豆島の木桶醤油は全国25蔵の連携とKIOKEブランド化で5年間に輸出額を3倍以上に伸ばし、復活の成功例として注目されています。

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みそ・しょうゆ・納豆など日本の発酵食品が、健康志向やサステナブルな食文化への関心の高まりを背景に世界的なブームを迎えています。ニューヨークの一流レストランでは麹菌を36時間かけて発酵させた「麹ケーキ」をはじめ、麹を活用した新たなレシピが次々と生まれています。アメリカでは麹はうま味やプロバイオティクスの面で高く評価されており、ハーバード大学やスタンフォード大学などの名門大学でも発酵に関する講座が設けられるほど注目度が上がっています。

一方、日本国内では深刻な危機が進行しています。物価高・原料不足・気候変動・担い手不足という複合的な要因が重なり、青森の「ごど」、秋田の「ハタハタ寿司」、沖縄の伝統味噌、対馬の「せんだんご」など、各地で長年親しまれてきた伝統の発酵食品が消えようとしています。失われるのは味だけではなく、蔵ごとに育まれた「蔵付き菌」という再現不可能な微生物や、地域の文化・歴史、観光資源としての価値まで多岐にわたります。

希望の事例もあります。香川県小豆島のヤマロク醤油・五代目の山本康夫さんは、消滅の危機にあった木桶職人の技術を自ら学び直し、2011年に「木桶職人復活プロジェクト」を立ち上げました。木桶による醸造はかつて全生産量の1%未満まで落ち込んでいましたが、全国25の蔵元が連携して「KIOKE」ブランドを構築。物語性とブランド化を軸に海外の高級スーパーやホテルへの販路を拡大した結果、5年で輸出額が3倍以上に成長しました。現在、小豆島には年間1万人を超える外国人観光客が訪れています。

この復活の鍵は「伝統の価値を正しく伝え、適正な価格で評価される」仕組みを作ったことにあります。専門家は産業・地域・研究者が一体となった産官学連携の必要性を強調しており、国も微生物を知的財産として守る動きを始めています。世界から熱視線を浴びる今こそ、日本の発酵文化を次の世代へつなぐ行動が求められています。

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Q&A

なぜ日本の伝統的な発酵食品が今、消滅の危機に直面しているのですか?
物価高・原料不足・気候変動・担い手不足という複合的な要因が重なっています。地方では若年層の流出により後継者が確保できず、長年守られてきた製法や蔵付き菌が失われつつあります。青森・秋田・沖縄・対馬など各地の伝統食品が影響を受けています。
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この記事のまとめ
  1. 世界の一流シェフが麹を活用した新レシピを開発し、日本の発酵文化への熱視線が続く
  2. 国内では担い手不足・気候変動が重なり、各地の伝統的な発酵食品が消滅の危機に直面
  3. 小豆島のKIOKEプロジェクトが全国25蔵を連携させ、木桶醤油の輸出額を5年で3倍以上に回復
なうらぼ編集部より

今回のNHK「クローズアップ現代」の特集を見て、「世界中で評価されているのに、国内で消えていく」というもどかしさを強く感じました。麹がニューヨークの一流レストランでスター食材として扱われている一方、その麹を支えてきた職人の文化が日本の地方から静かに失われていく。この矛盾した現実が、今の日本の食文化が抱える最大の課題だと思います。

特に印象的だったのは、小豆島・ヤマロク醤油の山本康夫さんによる木桶復活の取り組みです。木桶仕込み醤油が全生産量の1%未満まで落ち込んだ状況から、自ら桶職人の技術を一から学び直し、全国25蔵の連携でブランドを作り上げた行動力は圧巻でした。木桶職人復活プロジェクトのような草の根の取り組みが、発酵文化を未来へつなぐ重要な架け橋になっています。

また、発酵食品は「食べて健康になる」だけでなく、地域の観光資源や文化資本としての価値も持っています。小豆島には今や年間1万人を超える外国人観光客が蔵見学に訪れており、発酵食品が「観光×食」という新しい経済の軸になっていることも見逃せません。発酵食品を楽しめるレストランやカフェも全国各地に増えており、日常の食卓から発酵文化を支えることが私たちにできる一歩です。

伝統の味を守ることは、過去へのノスタルジーではなく、未来の食の多様性を守ることです。物語のある一本の醤油や一皿の発酵料理を選ぶことが、知られざる職人の技術や地域の文化をつなぐ力になります。今こそ「食べること」の意味を少し深く考えてみませんか。

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